私の両親の仕事は、ビニールハウスのトマト栽培農家でした。
幼少の頃から私は、2人の姉と共に、ビニールハウス内の一角(4畳半程度)が私たちの遊び場でした。両親はビニールハウス内でトマトを栽培しながら、私たちを育ててくれました。まさに企業内託児所ではなく、家族内託児所の始まりでした。

ある時、母親は自分の環境に照らし合わせ、働く女性の社会進出に対して危機感を感じ、一念発起し、「女性が子供を育てながら働くことのできる労働環境を作り上げる」という目的で、父親と共に栃木県足利市で社会福祉法人豊岡福祉会を設立し、働くお父さん・お母さんを支える為に天王保育園を開園させました。元々保育士であった経験を生かしての起業です。あれから32年が経過しました。姉2人は、母親を支えながら、天王保育園(天王学童クラブ)で、0歳児から小学校3年生までの子供達と、働くお父さん・お母さんを支えるために従事しています。妹も同様に、群馬県高崎市で幼稚園を経営し幼児教育に従事しています。私たちは、色々な一面から両親の志を受継いでいます。

そして、私は新たな取組みとして、社会福祉法人豊岡福祉会で軽費老人ホームを運営した後に、高齢者のための住居の確保と介護サービスを提供する(株)ワールドステイを立ち上げました。
そこで私が感じたことは、高齢者事業の労働環境が、3K(汚い・キツイ・給料が安い)と言われている通りだということです。更に365日24時間、高齢者施設を運営していることで、労働者の労働環境は窮地に立たされています。また、経済環境も決して良いとは言えず、仕事と育児を両立することが益々困難になっています。

そこで、私が代表を務めております(株)ワールドステイでは、少しでも仕事と育児を両立できる労働環境を目指し、平成24年4月1日より、(株)ワールドステイの全ての施設・事業所等で「お子様同伴出勤」を就業スタイルに導入することを定めました。平成24年3月1日より施設・事業所内環境を整え、新たなルールへの対応も考えていきますが、子連れ出勤を自然な形で実施し、働く皆様が、互いに尊重し合える労働環境を提唱していきます。
子連れ出勤は、一見、難しそうな就労形態と捉えられがちですが、(株)ワールドステイでは、母親という“人財”を上手に活用していきたいと考えています。物事を四角四面に考えないで、ゆるやかな臨機応変さ。これは子育てで身に付くスキルと共に、高齢者施設に従事し、様々な状況に対応するスキルであると考えます。女性が本来持っている仕事のスキルと、母親になってから目覚めた能力を共に活用する事が出来るなら、(株)ワールドステイにとっても、働くスタッフにとっても、また入居される皆さんにとっても大きな収穫となります。今後、積極的に「力まないバランス感覚」を持って仕事をする「子連れワークスタイル」を確立し提唱していきたいと思います。

様々な難問が生じると思いますが、(株)ワールドステイ内全体で克服出来る様に、精進したいと考えます。是非、関係者の皆様の今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

株式会社ワールドステイ
代表取締役会長 笠原 徹